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現場確認試験法(案)

出典:一般社団法人日本建設あと施工アンカー協会(Japan Construction Anchor Association)

1.目的

本現場確認試験法(案)は、施工現場において対象母材に固着されたあと施工アンカー(以下、アンカーと呼ぶ)が設計仕様に定められた所定の構造性能を確保されていることを確認するために行う試験について定めたものである。

2.適用範囲

本現場確認試験法の適用範囲は、次の通りとする。

2.1あと施工アンカー

本現場確認試験法は、(社)日本建築あと施工アンカー協会(以下、本協会と呼ぶ)が定めた「あと施工アンカー施工指針」(以下、本協会施工指針と呼ぶ)より施工されたアンカーを対象とする。

2.2実施者および試験の種類

(1) 接触打音試験

本接触・打音試験は、主にあと施工アンカー施工者がアンカーの施工が完了していることを確認するために用いるものとする。
その内、接触試験は、試験対象のアンカーへ触れて緩みなどがないことを調べる試験である。
また、打音試験は、試験対象のアンカーを金槌などで叩き接触試験で合格となったアンカーと同じ音色及び反発力があることを調べる試験である。

(2) 引張試験

本引張試験は、工事監理者が主にアンカーの構造的品質を確認するために適用するものとする。
本引張試験は、所定の荷重をアンカーへ載荷してアンカーとアンカー近傍母材の状態変化を目視観察する①非破壊荷重試験、または、状態変化を目視観察するとともに荷重とアンカーの変位との関係を把握する②非破壊荷重一変位試験である。

(3) トルク試験

本トルク試験は、工事監理者が主に前項(2)の引張試験が実施できないアンカーの構造的品質を確認するために適用するものとする。
本トルク試験は、所定のトルク値をアンカーのナットへ与えアンカーとアンカー近傍母材の状態変化の目視観察と、ナットの回転量によってアンカーの軸力と変位との関係を把握するものである。

2.3あと施工アンカーの種類

対象とするあと施工アンカーは、次の通りとする。

  1. 金属系アンカー
  2. 接着系アンカー

2.4対象母材

アンカーが固着されている母材は、普通コンクリートとする。

3.接触・打音試験

3.1試験本数

試験本数は、原則として全数とする。

3.2試験方法

試験は、以下によって行う。

  1. 金属系アンカーでは、施工終了後に試験を行う。
  2. 接着系アンカーでは、接着剤の所定の硬化時間後に試験を行う。
  3. 打音試験に使用するハンマーは、打撃による反発力や音色を把握しやすいものでアンカーに損傷を与えない様な構造および重量を有するものとする。

3.3判定規準

各試験における判定規準は、以下の通りとする。

  1. 接触試験の場合、アンカーにがたが無いこと、接着系アンカーの場合は接着剤がコンクリート表面まで充填されていて硬化していること。
  2. 打音試験の場合、接触試験で合格になったアンカーと同じ音色であること、適度な反発力があること。

3.4判定

3.3項の判定規準を満たしたものを合格とする。

3.5不合格の場合の処置

不合格となった未施工アンカーは、施工を完了させる。 または、 施工位置をかえて、再施工する。

4.引張試験

4.1試験本数

1ロットとは、1日に1施工者または班が1サイズのものを1工区または 1 回で施工したものとする。
試験本数は、1ロットにつき3本とする。ただし、複数施工者または班が複数工区で施工する場合には、監理者または管理者がロットの構成の変更を行うことができる。
但し、試験本数について特記がある場合には、特記による

4.2試験方法

試験方法は、以下の手順による。

  1. 試験箇所は、安全が確保され試験装置を安定的に設置できる場所とする。
    特記がある場合は、特記による。
  2. 試験装置の反カ板または反カ足は、アンカー回りの対象母材表面に平行または直角に設置する。
  3. 載荷装置及び荷重計測装置を設置する。変位を測定する場合は、変位測定装置を設置する。
  4. 載荷は、所定の載荷速度で、連続的にアンカーの軸方向に引張力を加える。
  5. 荷重と変位の計測を行う場合は、同時に計測を行い記録する。
  6. 検査荷重は、監理者または管理者の指小による。
  7. 検査荷重時および徐荷後、対象アンカー回りの母材状況を目視観察し、その結果を記録する。

4.3判定規準

各試験における判定規準は、以下の通りとする。

  1. 非破壊荷重試験の場合、検査荷重時および徐荷後、構造上問題となる抜出し変位、アンカー回りの対象母材のひび割れおよび割れがないこと。
  2. 壊荷重一変位試験の場合、検査荷重時および徐荷後、構造上問題となる荷重ー抜出し変位関係、アンカー回り母材のひび割れおよび割れがないこと。

4.4判定

4.3項の判定規準を満足したロットを合格とする。

4.5不合格の場合の処置

不合格アンカーの再施工を行うと共に適宜試験本数を増やし第2回目の試験を行って良い。
第2回目の試験で不合格の場合、不合格アンカーの再施工を行うと共にそのロットを不合格とし、そのロットの全アンカーを試験する。

5.引張試験

5.1試験本数

トルク試験の試験本数は、前4.1項による。

5.2トルク試験方法

トルク試験方法は、以下の手順による。

  1. 試験箇所は、安全が確保され、且つ、連続的にトルクがかけられる場所と特記がある場合は、特記による。
  2. トルクレンチは、試験するアンカーと同等の製品にて事前にトルク係数が把握されたものを利用する。
  3. 締付け方式のアンカー及びその他のアンカーでも定められた設計締付けカで締め付けられていることを確認後、ナットと取付け物間にマーキングを人れる。
  4. トルク導入によるアンカーへの引張力の載荷は、ポルトに曲げが作用しないように留意9共宅の速・度・で連続的に加える。
  5. アンカーへの張力と変位の関係を把握する場合は、トルク導人によるトルク値とナットの回転数を同時に記録する。
  6. 検査荷重としてのトルク値は、監理者または管理者の指示による。
  7. 検査トルク値導人時および初期トルク値に調整した後、対象アンカー回りの母材状況を目視観察し、その結果を記録する。

5.3判定規準

各試験における判定規準は、以下の通りとする。

  1. 検査トルク値導人時および初期トルク値に調整した後、構造上問題となるアンカー回りの対象母材のひび割れおよび割れがないこと。
  2. 検査トルク値導人時および初期トルク値に調整した後、ナット回転数とナットねじピッチの関係から求めた抜けだし変位が構造上間題となる変位でないこと。

5.4判定

5.3項の判定規準を満足したロットを合格とする。

5.5不合格の場合の処置

不合格アンカーの再施工を行うと共に適宜試験本数を増やし第2回目の試験を行って良い。
第2回目の試験で不合格の場合、不合格アンカーの再施工を行うと共にそのロットを不合格とし、そのロットの全アンカーを試験する。

6.引張試験装置

6.1試験装置

試験装置は、試験の種類により、次の通りとする。

  1. 非破壊引張荷重試験に使用する試験装置は、載荷装置、荷重計測装置より構成される。
  2. 非破壊引張荷重一変位試験に使用する試験装置は、載荷装置、荷重計測装置および変位測定装置より構成される。

6.2載荷装置

  1. 載荷装置は、アンカーに引張力を与える加カ装置とその反力を支える反カ板または反カ台から構成される。
  2. 加カ装置は、アンカーに対して軸方向に引張力を与えられるような機構とし想定される検査荷重を十分上回る加カ能力を有し、且つ、連続的に引張力を加えられるものとする。
  3. 反カ板または反カ足は、想定される検査荷重に対して十分な強度と剛性を有するものとする。

6.3荷重計測装置

  1. 荷重計測装置は、アンカーに加えられた荷重を正確に測定できるものとする。
  2. 荷重計測装置は、想定される検査荷重を十分上回る容量を持ち、計測精度が所定の精度を有するものとする。

6.4変位測定装置

  1. 変位測定装置は、アンカーの軸方向の変位を正確に測定できるものとする。
  2. 変位測定装置は、想定される最大変位を十分上回る容量を有するものとする。

7.トルク試験装置

7.1試験装置

試験装置は、試験の種類により、次の通りとする。

  1. 非破壊引張荷重試験に使用する試験装置は、載荷装置、荷重計測装置より構成される。
  2. 非破壊引張荷重一変位試験に使用する試験装置は、載荷装置、荷重計測装置

7.2載荷装置

  1. 載荷装置は、アンカーに引張力を与える加カ装置とその反力を支える反カ板または反カ台から構成される。
  2. 加カ装置は、アンカーに対して軸方向に引張力を与えられるような機構とし想定される検査荷重を十分上回る加カ能力を有し、且つ、連続的に引張力を加えられるものとする。
  3. 反カ板または反カ足は、想定される検査荷重に対して十分な強度と剛性を有するものとする。

7.3荷重計測装置

  1. 荷重計測装置は、アンカーに加えられた荷重を正確に測定できるものとする。
  2. 荷重計測装置は、想定される検査荷重を十分上回る容量を持ち、計測精度が所定の精度を有するものとする。

7.4変位測定装置

  1. 変位測定装置は、アンカーの軸方向の変位を止確に測定できるものとする。
  2. 変位測定装置は、想定される最大変位を十分上回る容量を有するものとする。

試験装置例

油圧式(油圧ジャッキによる加力)

  • 油圧式試験装置

ロードセル式(レンチによる加力)

  • ロードセル式試験装置

計測装置構成例

計測装置構成例
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